田原総一朗氏、井上達夫氏、伊勢崎賢治氏の
鼎談本『脱属国論』、遅ればせながら
ようやく読了しました。
護憲派の矛盾、安倍改憲案の欺瞞、
対米従属の構造、いちいち納得させられる。
井上達夫氏の指摘する通り、
日本は右も左もいざというときアメリカ様が
助けてくれるという「幼児的願望思考」で、
自分がそれに陥っていることに気づかない。
思考が停止しているから。
9条があるから「有事」を想定した規定が作れない、
それどころか議論さえ許されない。
「9条があるから戦争は起きないの!」
「ないったら、ないの!」
って、ただ駄々をこねているだけじゃないの。
伊勢崎氏の言葉の数々が胸に突き刺さります。
「自衛隊は軍隊ではないと言い訳しても、国際法の
世界では何の意味もありません。(中略)
もしも違反行為、すなわち『戦争犯罪』をおかした
場合、日本は国際社会の中の一国家として、
自衛隊を国内法で起訴し、裁判にかけることが
求められます。その責任能力を国際社会では
『主権』というのです」
「なぜ、アメリカの代わりに狙われるというリスクを
ヘッジしないのでしょうか。なぜ、日本が自分自身の
軍事を国際法に則って見つめ、そして統制する機会を
奪うのでしょうか」
「法治国家として撃った後の法的責任をとれない国家の
軍事力は、単に『撃てないハリボテ』です」
結局のところ、日本人は自分たちが軍隊を持ち、
それを統制していく勇気も覚悟もない。
「軍国主義」が復活するんじゃないかと、
怯えている。自信がないのだ。
そして、そこから目をそらし続けている。
なんなんだ、この国は・・・。
ただ、ダメっぷりがよく伝わってくるのに
ニヒリズムに陥らない読後感が不思議。
井上氏の強烈な正論マシンガントーク、
伊勢崎氏のクールだけど辛辣な語り口が
それぞれ文章からよく伝わってきて、
そこに田原氏の「朝まで生テレビ」っぽい
断定口調が混じり合って、なんかおもしろいし、
「ああ、ここにちゃんとした議論がある」という
満足感のほうが大きいのかも。
個人的には、自衛隊がポジティブリストで
がんじがらめにされているがゆえに「戦えない」
のではなく、
「『国際の法規及び慣例』の順守という制約を
国内法で十分に担保することができないから」、
危なくて使えない軍隊なのだという指摘が
目からウロコ、なるほど勉強になりました。
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